世界恒久平和の実現に向けて、長年にわたり「ピースアクションinヒロシマ」を開催されておられます皆様には、心から敬意を表します。
さて、現下の国際情勢を見ると、ロシアによるウクライナ侵攻後、市民を巻き込んだ人道上の危機が長期化するとともに、核兵器使用のリスクが冷戦後の世界で最も高まるなど、核兵器を巡る国際情勢は混迷の様相を呈しています。こうした中、今年の5月に開催されたG7広島サミットでは、G7や招待国の首脳等に平和記念資料館の視察や被爆者との対話を通して、直接、被爆の実相に触れていただきました。各国の首脳には、被爆地で感じた思いを胸に、核兵器のない平和な世界の実現に向けた具体的な行動に結びつけていただくことを期待したいと思います。また、今回のサミットを機に、世界中からより多くの皆様をお迎えし、この広島を、平和への思いを共有できる場にしていきたいと考えています。
核兵器廃絶の道のりは決して平坦ではありませんが、一人ひとりが「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の思いを自分のものとして受け止めて、核兵器はあってはならないという信念を持ち、それをしっかりと発信し続ければ、必ずや各国の為政者に核抑止政策の転換を決意させるための原動力になります。そうした意味から、次代を担う子どもたちを始めとする多くの人々に平和の尊さを伝える「ピースアクションinヒロシマ」が開催されることは、誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。
本市も、世界中で平和への思いを共有するための文化、すなわち「平和文化」を振興し、為政者の政策転換を促す環境づくりを進めていきます。皆様には、今後とも核兵器の廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。
令和5年(2023年)8月5日
広島市長 松 井 一 實