広島·長崎の原爆投下から75年以上。
核兵器はこれまで世界で唯一、条約で禁止されてこなかった非人道的な無差別大量破壊兵器です。
多くの人々が待ち望んでいた、核兵器を全面的に違法とする国際条約がついに誕生しました。
核兵器が世界中からなくなる未来への第一歩。
国際条約としてスタートした「核兵器禁止条約」をご紹介します。
2017年7月、ニューヨークの国連本部で、122ヶ国が賛成して、「核兵器禁止条約」が採択されました。これはすべての国連加盟国(193の国と地域)の3分の2近くになる数です。
そして、2021年1月22日に、批准国が50か国を越え、新たな国際法として発効しました。
CHECK➡︎
発効とは:条約や法律などが実施され、効力を持つこと。
批准とは:すでに内容が確定している条約に対し、国が条約を最終確認し、承認・同意すること。
条約は核兵器を禁止し廃絶するだけでなく、被ばく者などの被害者を援助する義務についても明記しています。
核兵器の被害者は広島と長崎の被爆者だけでありません。世界ではこれまで2千回を超える核実験が行われ、各地で被害を生んできました。被爆した多くの人々への医療やお金の援助、さらには汚染された地球環境を元どおりに修復することも義務付けられています。
また、条約には、現在核兵器を保有している国が条約に参加することを決断した際、どのような方法で自国の核兵器をなくすかといった手順や規則も示されています。
核兵器禁止条約を採択した2017年7月7日の投票では、122の国が賛成投票をしました。一方で、核兵器を保有している、ロシア、アメリカ、中国、フランス、イギリス、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮の9か国と、保有国の「拡大核抑止(核の傘)」の下にある国々などは2023年時点ではこの条約に参加していません。
CHECK➡︎ 保有国について
わたしたち日本も、アメリカの「拡大核抑止(核の傘)」の下にあり、条約に参加していない国のひとつです。
CHECK➡︎ 2023年2月時点で条約への加入国は68か国です。2022〜23年の1年間で10か国以上増加しました。
核兵器を持っている国(例えばアメリカ)が、核兵器を持たない同盟国(例えば日本)の安全を守ることです。雨を防ぐ傘に例えています。
ただし、一度も実際に適用されたことはなく、本当に機能するかについては専門家の間でも議論があります。 「拡大核抑止(核の傘)」については、核兵器を保有しない国が、核兵器保有国に依存することによる安全保障上のリスクや、偶発的な兵器の使用の事故や拡散の危険性についても考える必要があります。
こうしたリスクを低減させるために、先制不使用(先に使わないということ)など核兵器の役割を低くさせていく方策が国連で議論されています。また、東南アジア(ASEAN)など地域的に非核兵器地帯として、核兵器に依存しない安全保障を作っている事例もあります。東アジアにおける非核兵器地帯づくりも課題になっています。
2022年の第1回目の会議では、従来からアメリカの核の傘の下にあるとされるオーストラリア、ドイツ、ベルギー、ノルウェーなどがオブザーバーとして会議参加しました。いずれの国々も条約には加入していませんが、核兵器廃絶への歩みを共にすすめられることが期待されます。
また、会議では締約国がテーマごとにグループを作り、核兵器を廃棄するまでの方法や被害者援助、環境の修復について、話し合いをスタートさせました。
核兵器禁止条約は世界の核廃絶の機運を高めていて、締約国数と規模の拡大を絶え間なく推進しています。
核兵器の破壊力は、広く用いられるTNT火薬に換算して表されます。1キロトンはTNT火薬1,000トンに匹敵する爆発力です。広島と長崎に投下された原子爆弾はそれぞれ、16キロトンと22キロトンと推定されています。
現代では広島・長崎に投下された原子爆弾は“低容量”とされていて、ほとんどの核兵器が100キロトン以上の破壊力をもつほど、開発・研究が進んでしまいました。
また、これらはあくまで爆発力であり、核兵器の使用で発生する放射線障害や放射能汚染など、地球上の生物や地球環境へもたらす影響は加味されていません。
例えば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は広島に投下された原爆の約50倍、800キロトンの威力をもつ戦略核兵器を搭載しているとされています。もし、日本の上空でこのICBMが起爆したら何が起こるでしょうか。
また、戦術核兵器や小型核兵器など、あたかも「使いやすい」核兵器であるかのような発言もありますが、実際には広島や長崎に投下された原爆よりも威力の大きい兵器であり、使用によって深刻な被害を生み出すことに変わりはありません。
核兵器による被害は、爆発力に伴う熱線や爆風の他、発生する放射線障害や放射能汚染など、地球上の生物や地球環境へ大きな悪影響を及ぼし、世界中でくらす人々のくらしをも破壊する要因になります。
国際NGO「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」が2013年に発表した報告書「核の飢餓」ではこのような予測がされています。
インド・パキスタン間の核戦争で広島相当の核兵器100発が使用された場合、大気中に拡散した粉塵が太陽光線を遮ることで地表の温度が低下し、地球規模の気候変動と食料生産の低下を招き、その結果として世界の 20 憶人が飢餓に陥るというデータを示しました。
この報告書は、地球上のひとつの地域の核使用でも、世界中の人々が核の被害者になり得ることを各国政府に強く印象付け、核兵器禁止に向けた動きが加速する要因ともなりました。
核兵器禁止条約への加入国数と規模拡大の推進は、国や政府だけでなく、自治体や市民などのNGO(非伊政府組織)による働きかけも、世界中で積極的に進められています。広島・長崎の両市が呼びかける平和首長会議によって、自国政府へ核兵器廃絶に向けた取り組みを推進するよう求めるキャンペーンも展開されています。
全国の生協でも2021年から、日本政府に対して核兵器禁止条約に加わること、締約国会議にオブザーバー参加をすることを求める活動に取り組んでいます。 こうした動きを進めていくことで、核兵器廃絶に向けた機運を広げていくことが大切です。
条約の発効によって、世界中の銀行や企業の姿勢が変わり始めています。条約では、核兵器を製造·生産·保有する国への支援も禁止されています。そのため、核兵器製造に関わっている会社にお金をかさない銀行や、投資を止める企業が、世界中で(もちろん日本でも)増えています。
核兵器も核兵器以外の製品を製造することも困難になるため、核兵器の縮小にもつながると期待されています。
このように、核保有国·依存国は条約に参加していなくても、核兵器に関する活動を制限されるようになります。
SDGsも国の問題に留まらず、企業や一人一人の行動が目標の実現に結びついています。核兵器廃絶も、わたしたち市民の声と力がきっと役割を果たすことにつながります。
そうして、社会は少しずつ「核兵器のない世界」へと近づいていきます。
条約の発効によって、世界中の銀行や企業の姿勢が変わり始めています。条約では、核兵器を製造·生産·保有する国への支援も禁止されています。そのため、核兵器製造に関わっている会社にお金をかさない銀行や、投資を止める企業が、世界中で(もちろん日本でも)増えています。
核兵器も核兵器以外の製品を製造することも困難になるため、核兵器の縮小にもつながると期待されています。
このように、核保有国·依存国は条約に参加していなくても、核兵器に関する活動を制限されるようになります。
SDGsも国の問題に留まらず、企業や一人一人の行動が目標の実現に結びついています。核兵器廃絶も、わたしたち市民の声と力がきっと役割を果たすことにつながります。
そうして、社会は少しずつ「核兵器のない世界」へと近づいていきます。
核兵器のない世界を思い、考えたことを、家族や友達、周りにいる人に伝え、一緒にできることを考えてみてください。また、核兵器を廃絶するためには、核兵器が使用されたらどのような状況になるのか、多くの人が理解することも大切です。
たくさんの人が「核兵器のない世界を」と声をあげ続けたことで、核兵器禁止条約が作られるところまで来ました。その声をもっと増やすことができれば、核兵器のない世界を実現できるはずです。
私たちひとり一人が意思をもって声をあげることで、世論を高め、議論を生み、「核兵器のない世界」への大きな推進力となります。
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